注文住宅を建てるうえで考えるべきことはたくさんありますが、今回はそのひとつ「水回りの配置」にスポットライトを当ててお送りしたいと思います。
「水回り」といえば、代表的なのは以下の4つ。
・キッチン
・浴室
・洗面所
・トイレ
いずれも、日常生活に欠かせない設備。
だからこそ、まずは何といっても重要なのがそれぞれの「配置場所」です。
快適な暮らしを実現するためには、どのようなことを意識して各設備を配置すればいいのでしょうか。
水回り設備を配置するにあたり、最も意識すべきは「動線」です。
動線とは、人がその建物内を動くときに自然に通るであろうルートを線で表したものをいいます。
毎日を快適に過ごすためには、この動線がよりスッキリしていることが必要不可欠です。
たとえば、玄関からすぐのところにトイレを設置し、リビングの奥に洗面所を置いてしまった場合を考えてみましょう。
まず、帰宅後に手洗い・うがいをするためには、わざわざリビングを通過する必要があります。
そして、そこからトイレに行くためには再度リビングを通らなければならず、用を足したあとに手を洗おうとするとまたリビングを通らなければいけません。
一方、玄関からすぐのところに洗面所・トイレをセットで設置するとどうでしょうか。
行き来が格段に楽になり、動きに無駄がなくなります。
このように、自身や家族の動きを踏まえたうえで、より無駄なく動ける配置を意識しましょう。
動線には以下のような種類があります。
(1)生活動線
「顔を洗う」「食事をする」「お風呂に入る」「寝る」といった日常生活を送るうえで、家族が移動するルート。
(2)家事動線
「炊事」「洗濯」「掃除」など、家事をする際に移動するルート。
(3)来客動線
お客様を玄関からリビング(または客間)に案内する際のルート
水回りの間取りを設計する際は、それぞれの動線を考慮した配置にすることが重要です。
たとえば、洗面所とキッチンを近くに配置してしまうと、生活動線と家族動線が交わるおそれがあります。
その結果、会社に行く準備をしている旦那さんと朝食を作っている奥さんが、互いに邪魔し合いかねません。
また、玄関からリビング(または客間)に向かうまでの間にキッチンや浴室を配置してしまうと、
・来客時にプライベートが丸見えになる
・来客中、軽食を作ったり入浴したりできなくなる
といったことが生じます。
このような事態を招かないように、各動線がなるべく交わらない間取りを考えてみましょう。
水回りの間取りを設計するうえで、つい見落としてしまいがちなのが「排水音による問題」です。
たとえば、寝室と浴室がすぐ近くにあると、シャワーの音で寝ている家族が起きてしまう可能性があります。
また、トイレとダイニングルームの距離が近いと、食事中にトイレの音が聞こえてくるかもしれません。
特に早朝や夜など、静かな時間帯はなおさら排水音が際立って聞こえやすくなるでしょう。
当然、このような状況では、快適に暮らすどころかストレスばかりが溜まる一方です。
ダイニングルームや寝室などからなるべく離し、少しでも排水音が耳に入らないような間取りを設計することをおすすめします。
2階建てのマイホームを建てる場合は、水回りを2階にまとめるのも有効といえます。
たとえば1階にキッチンを、その他の設備を2階にまとめるという方法です。
水回りはどうしても湿気が多くなりやすく、それによってカビが発生する可能性があります。
一方、2階は1階に比べて採光性・通風性に優れているため、カビの発生率を抑えることができます。
また、リビングや客間を1階に配置すれば、来客時に慌てて水回りを片付ける必要もありません。
浴室や洗濯物を干しているバルコニーを見られることなく、スムーズに案内できます。
そのほか、
・生活動線と家事動線が交わりにくい
・排水音が気になりにくい
といったメリットもあります。
ただし、キッチンを1階、その他の水回りを2階に設置する場合は、工事費用が高額になりやすい点に注意が必要です。
一般に、水回りは同一フロアにまとめて配置するほうが安く仕上がるので、予算を抑えたい方にはおすすめしません。
また高齢になったとき、スムーズに階段の上り下りができなくなる可能性も考慮しておきましょう。
いかがでしょうか。
今回は「水回りの配置」について、意識すべきポイントをいくつか説明しました。
・生活動線、家事動線、来客動線を意識した配置を心がける
・リビングやダイニングルームに排水音が聞こえにくい場所に配置する
・同一フロアにまとめて配置するほうが工事費は安くなる
といったことを意識したうえで、間取りを設計するのがいいでしょう。
水回りの配置によって快適な暮らしを手に入れられるかどうか左右される、といっても過言ではありません。
理想のマイホームを建てるために、ぜひ参考にしてみてください。